読書(パチンコ)
夜の散歩では、きれいな満月を見ることが出来ました。
全米図書賞最終候補作という帯と、題名から興味を持ち、読んでみました。
少し前に、上巻を読んで、先日下巻を読み終えました。
日本統治下で、日本に移住した一家が、戦前から戦後にかけて差別などに
苦労しながら、パチンコを生業として生きていく(金持ちになっていく)
という、題名からも想像できるストーリーです。
‘日本人にとっては居心地の悪い部分もある’と訳者が言う通りで、
日本は、登場人物のキャラクターも含めて概ねよく描かれてません。
作者は、子供のころ移住した韓国系アメリカ人ですが、読んでいるとアメリカ人
受けするだろうなという要素が多々感じられます。
・大多数のアメリカ人のルーツと同様に、ある意味で移民の苦労が描かれている
・アメリカ(キリスト教)はドリーム、賛美すべきあこがれの国として、
(ある意味では日本の対極として)描かれている
・日本の描かれ方もある意味で、アメリカ人に刷り込まれた固定観念のままで
あろうと思われる
などです。
苦労して成功していく物語としての熱量は感じられますが、基本的には
恨み、怒りを訴える内容なんだろうと思います。
日韓問題はいろいろありますし、相手の気持ちの部分について、どうこうは
言えない気もしますが、事実は主張していかなければならないということの
重要性を改めて感じました。そして日本に関しては、言論の自由もないこと
は批判していくべきだと思います。
日本の戦争責任を問うことにおいては、米・中・露・コリア(南北)・欧州
とも利害関係が一致する(それが都合もいい)ということだと改めて思うし、
そういう国々に囲まれていることの重要性を感じます。
アメリカも同盟国で安全保障を委ねていますが、原爆等の戦争責任を正当化
するためには、必要以上にそうなんだと思います。
なんだか大きな話になってしまいましたが。
読み終わってみて、日本人として居心地の悪いところをなしにしても、
キャラクターの描き方などもありきたりな感じがし、小説としての
奥行きはあまり感じませんでした。