読書(徳田秋声集)
また、30年ほど前に買った本を、やっと1冊読み終えました。
・あらくれ
今ほど自由がなかった時代(明治~大正だと思います)の
女性が主人公の物語です。
母に虐待され、心配した父に養子に出された主人公が、
苦労しながらも成り上がっていく話です。
養父母に押し付けられそうになった、死ぬほど嫌な相手
との結婚話(育ててもらった義理でがんじがらめの状態で、
式当日に嫌っていた相手だと騙されたことがわかりながら)
を絶対に嫌だと押し通すところは迫力がありました。
面白くて一気に読みました。
・縮図
「あらくれ」同様に、主人公が芸者をやりながら生きていく、
女の一生的作品です。最初はいま一つでしたが、主人公の
過去を振り返るあたりから、面白くなってきました。
ただ、作者最後の長編らしいのですが、当時の政府に干渉され、
途中で終わっている未完の作品であるのが残念です。
・元の枝へ
夫婦喧嘩の短編でした。
・町の踊り場
姉の葬儀で、ふるさとへ帰郷した時の出来事を描いた短編です。
・和解
知り合いの病死をきっかけとして、あまり仲良くなかった
作家仲間と打ち解ける話で、多分自分のことだと思われる短編です。
どんな作家か全然知らずに読みましたが、「あらくれ」は
最高に面白かったです。