定年待てないオヤジの日記

こころはもう、定年後の自由生活を夢見てる、オヤジの生活日記です。

読書(一人称単数:村上春樹)




今日は1日変な天気でした。今も雷雨で、地響きがしています。





借りていた、村上春樹の8篇からなる短篇集を読み終えました。







・石のまくらに


 19才の若い頃の切ない思い出話です。アルバイト先の年上の女性
 と一夜を共にし(それ以来会ってない)、それに短歌をからめて、
(女性は短歌を作っていて後日歌集が送られてきます)語られます。
 一夜というのが、切なさを増します。


・クリーム


 寓話のような話でした。16才の時に、やめたピアノ教室に通って
 いた時のある女の子から、18才の時にピアノ演奏会への招待状を
 受け取り、神戸の山の上のリサイタル会場へ行くも、建物は閉ざさ
 れていて、からかわれたのかとも思うも、不思議な老人に出会った
 りします。


・チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ


 若いころ、想像上(架空)のレコードのライナーノーツを書きます。
 後年、ニューヨークのレコードショップで自分が創造したその架空
 のレコードを目にすることになります。


・ウイズ・ザ・ビートルズ


 高校時代のガールフレンドの家に行ったときに、その兄とガール
 フレンドの帰宅を待つ間に話をすることになります。
 そして18年後に、渋谷でその兄に声を掛けられ喫茶店へ。そして
 元ガールフレンドは二人の子供を残して3年前に自殺したと告げら
 れます。
 「そしてそこにあったはずの大事なメッセージは、すべて夢の核心
  と同じく、迷路の中に見失われていた。人生における大事な出来
  事がおおかたそうであるように。」
 「ポップソングがいちばん深く、じわじわと自然に心に染み込む
  時代が、その人の人生で最も幸福な時期だと主張する人もいる。
  たしかにそうかもしれない。あるいはそうではないかもしれない
  。」


・ヤクルト・スワローズ詩集


 エッセイのような話です。熱狂的ではないスワローズファンである
 ことが、自分と同じです。神宮球場のあのゆるい雰囲気(特に昔の
 外野席が芝生だったころ)が好きな点も共感できます。


・謝肉祭(Carnaval)


 醜い女性(魅力はある)が2人登場する話です。
 コンサートで知り合った女性とは、最高なピアノソナタを1曲
 決めるとするならば、シューマンの謝肉祭だと意気投合しますが
 後日、TVニュースで、彼女が大型詐欺事件で逮捕されたことを
 知ります。
 もう一人は、ダブルデートで紹介された女の子で、友人には、
 ブスな子でわるかったと言われますが、ただブスな子と思えず、
 後日電話しようと思うも、もらった電話番号を書いたメモをなく
 してしまい電話できなかった話です。


・品川猿


 むかし品川で飼われていた猿(話ができる)に、群馬の温泉宿
 でビールを飲み話をしますが、その猿は人間の女性しか好きに
 なれず、その人の名前を盗むという話です。


・一人称単数


 バーで出会った知らない女に、あなたは私の女友達に、どこか
 の水辺で、どんなひどいこと、おぞましいことをしたか思い出
 しなさい。恥を知りなさいといわれのない非難をされます。



いつもながらの、村上春樹の世界観を感じ、楽しめました。
どうも、村上春樹は短篇と長篇を交互に出すようで、次の作品は
長篇が予想されますが、この短篇集と同様に自伝的な内容に相対
するかもしれないと書かれていました。