定年待てないオヤジの日記

こころはもう、定年後の自由生活を夢見てる、オヤジの生活日記です。

読書(源氏物語 下:角田光代訳)



源氏物語の現代語訳:下巻がでたので、またリクエストして
さっそく読んでみました。




光源氏も亡くなり、まだ続くのかと思ってましたが、下巻がいちばん
面白かったです。宇治十帖(橋姫~夢浮舟)というようですが、
光君ゆかりの二人の殿(薫君と匂宮)が、宇治にゆかりの三姉妹を
めぐる話でした。もう完全に近代小説といえる展開で、世界最古の
長編小説といわれるのも納得しました。登場人物に自分を重ねられる
見事な展開で、姫のところで鉢合わせした二人の殿の片方の使者が、
もう一人の使者の後をつけて、秘密をあばいたりもしますが、この
時代の物語とは思えない内容です。




角田光代さんの現代語訳も、この下巻が最高だと思います。
薫君(堅物だがこの先大切にしてくれそう)と匂宮(今はいいが、
ゆくゆくは他に心がうつりそうなプレイボーイで、でも気持ちは惹かれる)
の間で心が揺れ動き、思い乱れる浮舟(三女)をめぐる展開がスリリング
です。どうしようもなくなった浮舟は、入水自殺しようともしますが、
結局もののけがとりつき、さらわれてしまったものの、僧都に救われて
最後には出家しますが、心情の描き方などは、現代小説以上に訴えてくる
ものがあり、源氏物語の凄さがやっとわかった気がします。


機会があれば、与謝野晶子か谷崎潤一郎の訳も読んでみたいと思います。