定年待てないオヤジの日記

こころはもう、定年後の自由生活を夢見てる、オヤジの生活日記です。

読書(恍惚の人、ファースト・ラヴ)


図書館で借りて、最近読んだ作品です。




恍惚の人=有吉佐和子

当時話題になったし、昔読んだ気がしていましたがはじめてでした。
老人問題を扱っており、昭和47年(1972年)の出版のようです。
当時は、老人問題はお嫁さんが中心になって対応していたようであり、
今でも大変な問題ですが、介護保険制度もでき、なんだかんだ言っても
福祉制度がすすんで来たのは間違いないと思います。
作品の中では、東京都全体で軽費老人ホームは700名、特養は1800名
分の受け入れ態勢しかないと書かれています。たまたま先日読んだ新聞には
現在でも不足はしていると思いますが、都内に536か所の特養があると知りました。
老人(高齢者)の人数も増えていますが、当時の寿命は女74才、男69才
(驚きです。自分もそれほど先がない・・・)と書かれています。
舅に困った主人公(主婦、お嫁さん)が、都の老人福祉指導主事に
「それじゃ私は、どうしたらいいんですか。ホームでも引取らないような
年寄りを、私が一人で面倒見なきゃならないっておっしゃるんですか。」
と聞くと、「本当に、老人問題は今のところ解決の見通しというのはない
くらい深刻なんです。家庭崩壊が起こりますしね。主婦の方に、しっかり
して頂くより仕方がないんです。」と答えています。
そして驚くことに、「立花さん、老人性うつ病というのは、老人性痴呆
もそうですが、老人性の精神病なんですよ。ですから、どうしても隔離
なさりたいなら、今のところ一般の精神病院しか収容する施設はないんです。」と書かれています。



ファーストラヴ=島本理生


後半、父親を殺した娘の裁判が始まりだしてからは、一気に読めるほど
面白くなってきましたが、それまでが少し長い気がしました。
多分、週刊誌の書評を読んでリクエストしたと思います。
両親にそれぞれ違った意味で、精神的に支配されていたともいえる主人公
が、事件・裁判を通して自己に気付き、精神的な呪縛をといて自立していく
前向きなラストが、読み終わってある意味爽快でもありました。