また一つ40年以上前に勢いで買ってしまった全集を1冊読み終わり
ました。



横光利一、初めて読んでみましたが、面白かったです。
また備忘録を兼ねて下手なあらすじを書いておきたいと思います。
・上海
激動の時代(1930年頃か)の上海を舞台にした作品を始めて読みました。
(映画では観ましたが)どの程度当時の様子を正確に描いているかはわから
ないが(でも作者はこの当時上海に行って少しの間住んだことがあるらしい)
、上海に生活する日本人達やインド人のアジア主義者、中国人の美しいプロ
レタリア主義者らが登場する、結構刺激的ともいえる作品です。
動乱の中、主人公の一人である参木とお杉はどうなったのであろうかと想像
するラストでした。
・寝園
元々はお互い好き合っていた二人だが、ちょっとしたことで意地をはって
別れてしまい、その後女は勧められるまま結婚し、男は独身のまま愛人の
ように過ごしています。
上流社会の話であり、お互い日々交流はあり好きな気持ちは変わらず、
二人の感情の変化・起伏等が事件を交えて描かれています。
(事件:猪狩で女は夫を助けるためにとっさに猟銃を打つも、夫に当たってし
まい自分は心のどこかに夫を亡き者にして愛人と結ばれたい気持ちがあった
のではないかと悩む。夫は何とか一命を取り留め、また愛人の男は先祖から
の会社を倒産させてしまう)
ラストでは女は夫との生活に別れをつげて家を出ていき、そして同居してい
た義妹(重要な役回りでもある)と夫宛に手紙が送られてきます。
義妹への手紙には尼寺へ行くつもりだということが書かれていて、夫のこと
を宜しく頼む(義妹は夫が好きだった)とだけ書かれていた。夫への手紙の
内容は明かされません。
好き同士だった二人がその後どうなるのかは読者の想像になりますが、多分
義妹への手紙の内容から一緒に暮らすことは断られ(男も資産がなくなり
自信もない?)思案に暮れているということではないかと思います。
なかなか面白くて途中から一気に読めました。
・機械
ネームプレートを作る会社(社長と従業員1人のみ)に勤めることになった
主人公が、社長・先輩従業員・奥さん(社長夫人)・途中からは助っ人の
職人との間で繰り広げられる出来事が書かれていますが、
主人公の思考は色々な事柄に対して絶えず2転3転し優柔不断に変化します。
実験小説的な要素があるかもしれません。
・時間
座長に見捨てられ、最後まで残った旅の一座の男8人女4人の座員が、どう
しようもなくなり宿賃を踏み倒して、ある雨の未明に追っ手から逃れるべく
険しい崖路を選んで逃避行する話です。途中で病人もでたりしますが結局は
仲間を見捨てることなく厳しい逃避行をしていきます。少しのユーモアと温
かさを感じる内容になっている好みの作品でした。
最後がどうなったかまでは描かれてはいません。
・微笑
太平洋戦争末期に海軍の秘密兵器の開発をしている若い将校と俳句を通じて
知り合いに主人公はなります。その海軍将校は天才肌でしたが(光線兵器で
戦局を一気に打開できるという)徐々に考えが狂人的(誇大妄想:光線兵器
でアメリカ海軍を全滅できるなど)になっていき、ついに敗戦を迎えたある
日の新聞記事で主人公はその将校が発狂して精神病院に入ったということを
知ることになります。
今日も暑くなりましたが、ものすごいというほどでもないので、そこそこ
過ごしやすかったです。
そして台風が熊本方面に直撃しなくてよかったです。(沖縄方面の方は
大変だと思いますが・・)