読書(意味がなければスイングはない:村上春樹)
ジャズの雑誌でこの本のことを知り、リクエストして読みました。
題名にスイングとあったので、ジャズに関する内容の本かと思いましたが、
ジャズだけではなくクラシックやロック、フォーク、Jポップについての
話もありました。
ジャズについては、シダー・ウォルトン、スタン・ゲッツ、ウィントン・マルサリス
についての話が載っていました。
その中で最も興味をひかれたのは「ウィントン・マルサリスの音楽はなぜ(どの
ように)退屈なのか?」の話です。
自分の若かりし頃その驚異的なトランペットのテクニックで一世を風靡しました。
ジャズだけでなくクラシックでも活躍し両方でグラミー賞にも輝いたと思います。
当時はNHKやアメリカのTVでも特集番組が作られたり、S・J誌でもいつも話題に
(天才と持ち上げていました)なっていました。
当時私も2枚アルバムを買って聴きましたが、本の題名の通りレコードを聴いても
面白くなかったです。良さがわからない自分は素養がかけているのかもと思ったり
もしましたが、
そのうち段々と「音楽に心がない」などと言われ始めたと思います。そして今では
ほとんど話題にならなくなった気がします。
約20年前に書かれた本ですが、このタイトルを見て「やっぱりそうだったよね。」
(天下の村上春樹もそう思っていたんだ)と共感して読めました。
テクニック一辺倒で心がない、退屈、音楽に伝えたい思いがないと評されたりも
しますが、ウィントンはテクニック第一主義(変な自信は感じるものの、演奏に
大切な人望をあまり感じられない気もします)なので、そのことに本当の意味で
気が付いてはいない気がします。
マイルス・デイヴィスが自分のテクニックに限界を感じ、必要な音だけを残して
演奏することにより人々に感動を与える音楽を創造したのは有名な話ですが、
ある意味でその逆かもしれません。
ジャズよりはクラシックの方が向いている(クラシックファンの方には怒られる
かも知れませんが)気がします。クラシックではトランペットはメインの楽器で
はなく、特に少人数での演奏はあまりない気がしますが、ジャズではコンボ(少
人数)の演奏がメインですし、トランペットは花形楽器の一つなのでより演奏に
テクニックよりも個性が求められるからです。