定年待てないオヤジの日記

こころはもう、定年後の自由生活を夢見てる、オヤジの生活日記です。

読書(志賀直哉集)

明日の朝まで、台風が近づいて暴風雨になるようです。


30年ほど前に買った本をまた1冊やっと読み終えました。
備忘録的に内容をメモしました。


・暗夜行路
 この時代(大正?)の小説としては、だいぶスキャンダル的要素がある
 内容なのかなと思います。
(自分の父は実は祖父であり、戸籍上の父からのつめたい態度がわかった、
 祖父の妾だった人と住んでいて、結婚を申し込んでしまう、奥さんに
 迎えた人が、奥さんのいとこに関係を持たれてしまう)
 最初はそれほどでもなかったですが、だんだん引き込まれて読みました。
 後半で大山へ、心を静めに行くところは、漱石の草枕を彷彿しました。
 最後は奥さんに看取られながら、穏やかな気分になって死を迎えたと
 思われますが、昔の方は今より死が身近にあり向き合っていたんだと
 あらためて気づかされました。


・大津順吉
 自らのことなのか、小説家が主人公で、女中と結婚しようとするも
 父に反対され憎むというような話ですが、暗夜行路と同様に、当時の
 身分の低い女性との結婚、父との確執が描かれています。


・和解
 父と仲が良くない、千葉の我孫子にすむ主人公(小説家)が、
 赤子の死亡などを経て、父と和解するまでの心の葛藤の話です。
 ほとんど作者自身の体験と思われます。


・網走まで
 宇都宮行の列車の中で乗り合わせた子連れの女性が、網走まで行く
 ということを知るという短編ですが、哀愁を感じる作品でした。


・速夫の妹
 思春期の友達の妹に対する初恋のような思い出です。


・正義派
 女の子が路面電車にひかれるのを目撃した線路工夫3人の高揚と
 むなしさを描いた短編です。


・清兵衛と瓢箪
 清兵衛という子供が10銭で買った瓢箪が価値のわからない親に
 理不尽に捨てられたが、最終的には600円で金持ちに売られた話です。


・赤西蠣太
 伊達騒動の時に、武骨な見た目もさえない田舎侍の主人公が、敵を欺く
 任務のため小江(さざえ)という美しい腰元に艶書を送るが、意外にも
 好意的な返事が来るという話です。


・小僧の神様
 神田の秤屋の小僧が、屋台のすし屋でお金がなくて恥をかかされたのを
 目撃した貴族院議員が、後日寿司をご馳走してあげる話です。


・雨蛙
 夫婦で行く予定だった講演会に、事情があって細君一人で行かせたところ
 講師と関係してしまいます。


暗夜行路もよかったですが、網走まで・清兵衛と瓢箪・赤西蠣太なども
おもしろかったです。
他にも日記的なものも含めて短編作品が多数ありました。