定年待てないオヤジの日記

こころはもう、定年後の自由生活を夢見てる、オヤジの生活日記です。

読書(谷崎潤一郎集)

また30年ほど前に買った1冊を、2~3年かかって読み終えました。


また備忘録として、簡単なメモを残そうと思います。

・細雪
 資産家だった家の四姉妹の日常生活、特に三女雪子の縁談話や四女妙子
 の恋愛が中心で、大水害などの事件もありますが、何気ない日常生活を
 四姉妹の設定とキャラクターが印象的で、引き込まれて読みました。
 戦争(太平洋戦争)に向かう前の当時の雰囲気・様子が感じられました。
 最後に東京に向かう雪子の下痢が止まらないというのが、この先の
 前途多難を(戦争を含めて)暗示しているようでも、また捉え方によって
 は、亡くなったカメラマンの祟りがまとわりついているようにもとれまし 
 た。


・痴人の愛
 「ナオミ」という、15歳の少女として最初に知り合った女の魅力に
 支配されて抵抗できない、少し情けない主人公の話でした。
 ナオミは西洋人っぽいところが魅力的に描かれていますが、西洋人に
 対する卑下した感じの表現が多かったです。


・卍
 読んでから日がたっており、細かく覚えてませんが、一人の女性を
 夫婦で好きになり、最後に薬を飲んで三人で自殺を図ると、妻だけ生き  
 残ってしまい、一人残された妻は騙されたのではと死んだ二人を疑い
 どうしようもない虚しさを感じてしまうというような内容だったと思い
 ます。


・少将滋幹の母
 源氏物語を読んでいるような錯覚を覚える作品でした。
 平中(へいじゅう)という色好みと時平(しへい)という左大臣
 (権力者)の色好みによる絶世の美女(滋幹の母)めぐる話ですが、
 面白かったです。
 話の基になる古典があるのでしょうか。平安時代の自由恋愛という
 のもいいものだなと思いました。


・刺青
 刺青の名人が(ほりもの師)が、理想の女性に出会い、一世一代の
 刺青をする短編。


・瘋癲老人老人日記)
 カタカナで書かれており、読みずらいのでパスをしました。


・秘密
 2,3年前上海へ旅行する航海で知り合い関係を結んだ女性に、東京で
 出会いまた会うようになるが、会う場所へは目隠しをされて人力車
 で行くので、最初はどこかわからなかったが、慣れるうちに道のり
 を覚えて場所を突き止めてみると好奇心もなくなり、つまらなく
 なってしまうという話。


・金色の死
 主人公の友人(芸術上のライバルでもある)は、莫大な財産を
 相続し、箱根に自分の芸術の理想郷を作り、主人公を招くが、
 最後は、全身金色になって(身体に貼った金箔で体中の毛穴を
 ふさがれて)死ぬという話です。
 谷崎は、自分では失敗作と思っていたようです。


・春琴抄
 主人公は、三味線の師匠でもあった、美しくて盲目の春琴に
 恋をし、最後は自分も自ら盲目になっても、春琴につくすという
 自己犠牲の愛の話でした。


 尚、この本の解説をかいているのは、三島由紀夫でした。


 自分としては、この本の中では「少将滋幹」や「春琴抄」も
 よかったですが、やはり「細雪」が一番だったと思います。